秀碩、9cm角印を彫る
2008年秋、秀碩は某団体様より9cm角印章のご注文を承りました。
印材特注〜はかま製作などを経て、同年12月より印稿製作に着手しました。
※上の写真で印材を挟んでいる刻台も、この仕事のための特別注文です。
印稿製作
12月中旬、秀碩は延べ約4日間をかけて印稿を製作しました。
まず最初に鉛筆で下書き、続いて一通り筆で書いた後に、ホワイトで修正して完成です。
※印稿段階では、周囲の□枠は実際の仕上がりより太めに書かれています。
字入れ
まず印面に朱墨を塗り、そこに印稿を基にした文字を筆で施字していきます。
とこどどころに見受けられる、文字の周囲の赤いにじみのようなものは、
墨で書いた文字線をさらに朱筆で修正した跡です。
また、右上文字の一部分は光に反射して白くなっています。ご了承ください。
※この写真は秀碩自身がコンパクトデジカメで接写し、プリントしたものです。
荒彫り
1辺が9cmある角印の面積は9cm×9cm=81cu。
これは一般的な実印サイズである15mm丸の面積1.76cuの、なんと46倍!
「この歳になってこんなに大きなものを彫るとは思わなかった」と苦笑する秀碩ですが、
根っからの仕事好きな職人なので、けっこう楽しみながら彫り進めたようです。
荒彫り完了
秀碩は仕上げ工程において自由闊達に文字を作っていく芸術家肌の職人ではありません。
完成形に近い形で荒彫りが完了するよう、愚直なまでに丁寧な仕事を施してきました。
今回のご注文に際しては、文字の躍動感を表現することに主眼を置いて臨んでいるとのこと。
これからの仕上げ工程でも常にそのことを念頭に置き、生きた文字線を創り出していきます。
※と“印”部分のアップがご覧いただけます。
仕上げ
ただの“線”に生命を吹き込むことで“文字”へと変貌させる、極めて重要な工程です。
この道60年以上の超ベテランの秀碩も、全神経を研ぎ澄ませて印面と対峙します。
仕上げ前/仕上げ後
左側の“盟”は仕上げが施されており、右側の“印”とその上の文字は仕上げ前の状態です。
と、“印”とその上の文字の仕上げ後の写真をご覧いただけます。
※2枚の写真はそれぞれ別の日に撮影されたものです。微妙な大きさの違いや位置のズレはご容赦ください。
完成
こうして2009年2月下旬、9cm角印章の彫刻は全工程を終了、完成しました。
秀碩晩年期の代表作が、またひとつここに誕生です。
※製作時点では伏せておりましたが「日本将棋連盟」様からのご注文です。完成品印影はこちらをご覧ください。
ふーっ。ああくたびれた。頼むから少し休ませてくれ。(秀碩)
というわけで秀碩は休ませて、印鑑に使われる素材(=印材)のご説明を少々。
◆印鑑素材を見てみる
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